北野天満宮 瑞饋祭 ずいきって!?

10月1日から5日までの5日間にわたって行われる北野天満宮の瑞饋祭。

その冠に使われる瑞饋とはいったいどういうものでしょう。

ずいきとは、芋茎(さといもの茎)のことで、これに「めでたい食べ物」というような意味の「瑞饋(ずいき)」と当てているかと思います。

ずいきを瑞饋神輿の屋根に葺き、その他、柱や瓔珞などの各部分を野菜や穀物、乾物などで飾り付けた神輿でで、京都市無形文化財に登録されています。

使用する野菜の栽培から飾り付け、またその技術の継承など「西之京瑞饋神輿保存会」により伝統が受け継がれています。

瑞饋神輿は、10月1日から3日まで御旅所に奉安され、10月4日に巡行します。

瑞饋神輿の手すりのようなものと鳥居の一連を「高欄」といいます。

瑞饋神輿の手すりのようなものと鳥居の一連を「高欄」といいます。

鳥居の中ある飾り付けが「桂馬」です。「桂馬」は1年かけて材料を集めるそうです。


千木(ちぎ)=麦わら加工 上部のクロスした部分

梅鉢紋=稲わら、柚子、稲穂

屋根葺き=唐の芋(赤ズイキ)

     真芋 (白ズイキ)

真紅(しんく)=千日紅(赤色)

        千日紅(白色)

賀茂なす型の鈴

平瓔珞 『梅に鶯』 ずいきの皮、赤唐辛子

    『松に鶴』 松獅子頭 

『唐の芋の頭芋』 根、栗、赤唐辛子

すみ瓔珞 傘部分 白色…白ごま

         黒色…九条ネギの種

         茶色…水菜の種

         緑 …白い燈芯を赤と青に染めたもの

     赤なす

     柚子

     五色唐辛子

神輿の人気の四面を飾る欄間、桂馬、腰板とよばれる「細工物」

ずいき神輿の飾り付けは、千日紅の摘み取りから始まります。

千日紅は、南アメリカ原産ですが、古くに日本に伝わったものです。草丈50㎝ほどの枝先に2㎝ほどの丸い赤い花をつけます。保存会の農家三軒が畑で栽培しています。

「西之京瑞饋神輿保存会」の保存会集会所(京都市上京区西之京北町)に会員が集まり、仕事終わりの7時頃から夜なべをしつつ作成していきます。

集会所の外で藁打ちをし、真紅に飾る稲わらの梅鉢紋の房を作るため、縄を綯(な)い、梅の形に編む。

集会所には収穫したての新米の稲穂が運ばれ、ワラをはずして揃えられる。この稲藁や稲穂も会員農家が作ったものです。

人気の神輿の四面を飾る欄間、桂馬、腰板とよばれる「細工物」は夜なべと並行して作られます。四面共通のテーマはなく、毎年、趣向を凝らして、昔話や干支、その時代の話題になったものなどを作られているのが大きな特徴で楽しいです。干しズイキ、ズイキの葉、なんば(とうもろこし)の皮や毛、九条ねぎや南瓜の種。青のり、ススキなど、これらの作品も自然のものを使います。

また、西之京の神輿町が各々神輿作りを分担していた唯一の名残の「鳥居の海苔貼りが集会所でおこなわれているようです。

神輿の四隅を飾る色鮮やかな「野菜瓔珞」は赤ナス、五色トウガラシと実をはずし、赤ナスの赤や緑の実、五色トウガラシをタコ糸に通していきます。麦わら細工の家紋も使いながら、縦横組み合わせて立体的に組み上げていきます(写真参照)。それと並行して、梅紋鉢の飾りに付ける柚子をくり抜き、稲穂束ねが行われる。

いよいよ大詰めの9月30日朝、いよいよズイキの収穫です。会員農家が丹精込めて育てて背丈より大きくなった赤ズイキ(唐の芋)、青ズイキ(真芋)。赤ズイキは芋頭も使われるので株から起こす。その数は70株で、青ズイキは丈の長いズイキ部分だけ200本切り取るそうです。午後、神輿の土台が安置されている御旅所でズイキの屋根を葺き(写真)、各部パーツをはめ飾っていきます。

10月1日、野菜瓔珞を吊り下げ、地元の彫刻家による一刀彫りで阿吽の獅子(写真)に変身した頭芋4対を飾り終えると、神の宿られる神聖な瑞饋神輿が完成します。

【参照参考文献】西之京瑞饋神輿保存会会長 佐伯昌和「西之京瑞饋神輿 ~野菜神輿の不思議な魅力~」 

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