件(くだん)
西日本ではごく稀に人間の顔をした仔牛が生まれ、人の言葉で予言を残してすぐに死んでしまうが、その予言は必ず当たるとされていた。これを「件(くだん)」と呼び、証文などの結びの文句、「仍て件の如し」はここから来ているという俗説とともに語られていた。
この資料は「新耳袋」などの著作で知られる怪談蒐集家の木原裕勝氏が群馬県沼田市で発遣したもので、「牛人間」という名前で見世物興行に用いられていた。
牛から「件」が生まれるという伝承は西日本が中心であったため、「件」とは呼ばれていなかったようであるが、このような姿の牛が実際に生まれることがあったということが「件」の伝承を生んだものと思われる。
特別展「驚異と怪異ーモンスターたちは告げるー」(兵庫県立歴史博物館)
令和2年6月23日(火)~8月16日(日)
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